退職届が受理されない
退職届・退職願を記載し、会社や上司が受け取らないとき、就業規則又は、民法の規定により退職することができます。
退職届を受け取らず辞めさせない理不尽な会社は現実に存在します。
退職に関する意思表示を行っても会社が辞めさせてくれない場合、書面による明確な意思表示を行うことで、就業規則又は民法の規定により退職することが出来ます。しかし、民法の規定による一方的な退職方法は蟠りが大きい為、出来れば話し合いで合意退職することが望ましい方法です。
話し合いで解決しない場合、就業規則に基づく期間と方法による退職をはかり、それでも解決出来ない場合にはじめて民法の規定を用います。
・退職の意思表示
退職に関する意思表示は、口頭でも事足りるとされています。しかし、後に紛争になった場合に備え書面で行うことが大切です。特に書面では、「退職届」を用い、提出日と退職日を明確にしておくことが重要です。
・退職届の受理について
正式な退職届が提出されると、会社はこれを拒むことは出来ません。例え提出したものを返却するなどして受け取りを拒否したとしても、退職届は有効に機能します。問題は労働者(社員)側が受取を拒否したという事実を後で証明できるかが重要なのです。
受け取りを拒否するような会社であれば、後に拒否した事実を口頭で反論する程度では争いとなる可能性が残るため、客観的な証拠を作成しておきます。
→退職届が拒否されたときの退職方法
・退職届の承諾について
退職届を提出し、労働者(社員)が民法の規定を引用して退職する場合には使用者(会社)の意思承諾は関係なく退職することが出来ます。但し、雇用形態により「退職届」が有効となる日は異なり、最悪損害賠償責任を負うことに注意しなければなりません。
・退職願であった場合
退職の意思表示を「退職願」で提出した場合、記載された内容により扱いが異なります。一重に「退職願」といっても、実際にどのような内容が書かれているかにもよりますが、退職願は会社の承諾することが前提である為、退職日等が自身の希望日とずれる可能性を残します。退職願を受け取らない。承諾を得られない等紛争の恐れがある場合において、退職願の記載内容が不十分である場合、「退職届」を先に提出した退職願の内容がより明確となるように作成しなおし提出することも必要です。
・民法の規定による退職出来る日
・期間の定めのない雇用であり、日給制(日給月給制を含む)・時給制の雇用の者
→民法627条1(略) 解約の申入れの日から二週間を経過すること。・期間の定めのない雇用であり、月給制の者
→民法627条2(略) 解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。月末締めの場合、前半(1~15日)であれば月末。後半(16~31日)であれば翌月末。
・期間の定めのない雇用であり、年俸制の者など
→民法627条3(略) 6ヵ月以上の期間によって報酬を定めた場合、三箇月前。3カ月前まで。
・期間の定めのある雇用(有期雇用契約)
→民法628条(略) やむを得ない事由があるときは、契約の解除をすることができる。相手方に対して損害賠償の責任を負う。やむを得ない事情がない限り、途中退職は出来ず、雇用期間を満了することが必要。
やむを得ない事情とは、就業規則や社会的情勢を踏まえな判例等による。また、場合によって損害賠償責任を負う可能性がある。
また、使用者(会社)も労働契約法第17条1項により一方的な途中解約(解雇など)はできません。
但し、労働者側が退職を願い出て会社が承諾する場合では、合意退職であるため途中退職も可能となります。
・根拠法令:
民法(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)第六百二十七条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
労働契約法第17条第1項(契約期間中の解雇等)
第十七条第一項 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
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